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仏さまとハス その5(法人事務局・法話)

 ハスは恐竜時代に誕生したと言われています。植物は種を作るためには、花粉をほかの花に運ばなければなりません。昔の植物は、風で花粉を運んでいました。しかし、風でと飛ばすのでは、花粉がどこへ飛んでいくかわかりません。そのため、植物はたくさんの花粉を作らなければならなかったのです。ところが、恐竜時代になると、昆虫が花粉を運ぶ花が進化しました。昆虫は花から花へと花粉を運んでくれるので、たくさんの花粉をつけなくてもよくなったのです。そして、今でも植物と昆虫とは、助け合いながら暮らしています。このように生き物どうしが助け合うことを「共生」といいます。

 しかし、考えてみればすごいことです。花にやってきた昆虫は、もともとは花粉をエサにするためにやってきた害虫でした。その害虫にエサを食べさせて、その代わりに花粉を運んでもらうようになったのです。そして、植物は、やがてはやってくる昆虫たちのために甘い蜜まで用意しました。害虫を防いだり、害虫から身を守ることも大切です。しかし、嫌がるばかりではなく、害虫のためになることをしてあげることで、植物は敵と助け合う方法を作り出しました。植物の進化というものは、本当に不思議です。
                                    つづく 常任理事 細井


仏さまとハス その4(法人事務局・法話)

 ハスは、花も不思議です。ハスは、花が咲くときに、ポンと音がなると言われています。実際には、ハスの花が咲くときに音が鳴ることはないとされています。しかし、確かに聞いたという人も大勢います。本当のことは、謎のままです。それにしても、ハスは本当に美しい花です。仏教で尊ばれているように、その美しさは、この世のものとは思えません。ハスが不思議な感じがするのは、ハスが古代の植物であることが関係しているかも知れません。ハスは化石として発見されるほど古くからある植物です。そのため、ハスは、「生きた化石」とも呼ばれています。ハスの花には古代の植物の特徴が見られます。ハスは花弁がたくさんあります。また、おしべとめしべの数が多く、ごちゃごちゃしています。これも、古い植物にみられる特徴です。植物は進化していく中で、はなびらの数やおしべ、めしべの数を整理していきました。そのため、新しいタイプの植物はバランスの良い花の構造をしています。また、植物は花が咲いた後に実ができますが、花と実とはちがう姿をしています。たとえば、リンゴの木はサクラの花のような花びらが五枚の花を咲かせます。その後に、真っ赤に熟したリンゴの実を成らせるのです。

 ところが、ハスは花と実が同じような形をしています。そのため、ハスは花が咲いているときから実ができていると珍しがられました。仏教では、この世で起こったすべてのことに原因があると言われています。この難しい教えは「ハスの花と同じだ」と譬えられました。ハスの花が咲き終わった後、実が落ちると、実がついていたところに穴ができます。これが蜂の巣に見えるところから、もともとは「ハチス」と呼ばれていました。それが短くなって「ハス」と呼ばるようになったのです。


                                        つづく
                                        常任理事 細井


仏さまとハス その3(法人事務局・法話)

 ハスの葉にはふしぎな特徴があります。ハスの上にできた水玉は右や左へといつまでも動きまわります。ハスの葉の表面は細かな毛が密集して生えているので、水をはじきます。しかし、ハスの葉は真ん中がへこんでいるので水玉はこぼれることがありません。そして、葉っぱがかすかに揺れたり、葉の表面から空気が出てくるわずかな力によって、葉の上の水玉が動き続けるのです。

 ハスの葉が水をはじくしくみは、私たちも利用しています。カップのヨーグルトのフタを開けると、ふたの裏にヨーグルトがついてしまいます。ところが、最近では、フタを開けてもヨーグルトがつかないものがあります。これは、フタの裏が、ハスの葉と同じ仕組みになっています。そのため、ヨーグルトをはじくようになっています。他にも傘やレインコート、家の壁など水をはじく仕組みも、ハスの葉をヒントに作られました。  つづく                          常任理事 細井


仏さまとハス その2(法人事務局・法話)

 みなさんは、レンコンという野菜を知っていますか?
 レンコンは漢字では、「蓮根(れんこん)」と書きます。「蓮(はす)」というのはハスのことです。ハスは草かんむりに「連(れん)」と書きます。レンコンが連なっているようすから、この漢字が作られました。
 レンコンは泥の中を伸びて行きます。「蓮根」は「ハスの根」と書きますが、実際には根ではなく、地下(ちか)茎(けい)という地面の下を伸びる茎(くき)です。レンコンには、穴が開いています。のぞくと、向こう側が見えるので、「先が見える」と言われて縁起が良い食べ物だと考えられました。お正月に、レンコンを食べるのはそのためです。

 

 レンコンの穴は、水の上にある葉っぱとつながっています。レンコンは水の上で吸った空気を、この穴を使って泥の中まで運んでいるのです。昔の忍者は、水の上に出した竹の筒を使って空気を吸いながら、水の中に隠れました。泥の中に潜むレンコンの作戦は、忍者の水とんの術と同じです。実際に、ハスの葉の柄にも穴が開いているので、葉を切り落として柄(え)の部分だけにするとストローのようになります。これを使うとシャボン玉遊びをすることができます。

 

 レンコンの穴の数は決まっています。レンコンは真ん中に大きな穴が開いていて、そのまわりに九つの穴があります。一方、葉の柄に空いている穴は四つです。どうして、水の上の葉の柄よりも、泥の中のレンコンのの方が穴の数が多いのでしょうか。泥の中では、泥の重さで穴がつぶれてしまうことがあります。穴の数が多いのは、穴がつぶれても、他の穴が空気を通すように工夫されているのです。  常任理事 細井


仏さまとハス(法人事務局・法話)

 お寺の仏像は、どんなところに座っているでしょうか?
 イスでしょうか? それとも、座布団でしょうか?

 仏像を見てみると、花のようなものに座っています。これは蓮華座(れんげざ)と呼ばれています。蓮華というのは、ハスの花ことです。ハスは、仏教にとって、とても大切な花です。仏像が座っているだけではありません。たとえば、ハスの花を持つ仏像もあります。仏さまにお供えするお菓子も、ハスの花の形をしたものがあります。ハスは、極楽に咲いているといわれます。そういえば、お寺の池にもよくハスが植えられています。

 ハスは汚れた泥の所に生えます。しかしハスの花は、この世のものとは思えないほど、美しいものです。世の中には、良いことと悪いことがあります。良い人も悪い人もいます。汚れた泥は、まるでいろいろなものが混じったこの世の中のようです。泥から生えて美しい花を咲かせるハスは、いろいろなことがある世の中で、素晴らしい行いをする仏さまの教えのようであると言われたのです。ハスは不思議な植物です。ハスが泥の中から生えることができるのには、ひみつがあります。   つづく
                                        常任理事 細井


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